用語解説


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(溶込み不良)(A)融合不良(B)溶込み不良図1 融合不良・溶込み不良の例融合不良・溶込み不良は、どちらも溶接継手における「不良」、すなわち溶接欠陥を表す言葉です。二つの言葉は、よく似ているため混同されやすいようですが、JISZ3001(溶接用語)によれば、融合不良は「溶接境界面が互いに十分に溶け合っていないこと」、溶込み不良は「完全溶込み溶接継手の場合に溶け込まない部分があること」となっており、発生状況によって区別されています。つまり、図1(A)に示すように、母材と溶着金属、あるいは溶着金属どうしが部分的に溶け合わずに隙間が生じた状態を融合不良と呼び、図1(B)のように、板厚の全域にわたって溶込みが必要な継手(完全溶込み溶接継手)において、溶け込んでいない部分がある状態、あるいは溶込みが不十分なためにルート面が残った状態を溶込み不良と呼ぶわけです。溶接欠陥が継手の品質に与える影響はその種類によってさまざまですが、融合不良・溶込み不良の場合は、継手の強度が低下するばかりでなく、応力集中による亀裂発生の起点ともなるため、非常に危険な欠陥であると言えます。融合不良・溶込み不良は、以下のような原因で発生します。1)入熱量の不足(溶接電流が低い、溶接速度が速いなど)2)溶接金属のアークに対する先行(溶接速度が遅い、トーチの前進角が大きいなど)3)ワイヤ狙い位置、ウィービングの不適正4)開先形状の不適正(開先角度が狭い、ルート間隔が小さい、ルート面が大きい)5)前層のビード形状が凸(融合不良の場合)融合不良・溶込み不良は、一部の場合(片面溶接の溶込み不良など)を除いて溶接継手の内部に存在するため、外観からは確認できません。従って、実際の構造物では、溶接後にX線や超音波を使って検査をします。欠陥の程度にもよりますが、発見された場合には、アークエアガウジングなどで欠陥部を除去し、補修溶接を行います。1995年1月の阪神大震災は未だ記憶に新しいところですが、それまで地震には強いと言われていた鉄骨構造物も多大な被害を受けました。その中には、融合不良・溶込み不良から亀裂が発生し、溶接部が破断した例も数多く発見されており、溶接欠陥の重大性を改めて認識させられる結果となりました。(1996年9月号)融合不良・溶込み不良229


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