用語解説


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スカラップ図1 一般的なスカラップの例専用裏当て金梁ウェブ梁フランジ図3 ノンスカラップ工法の例   (柱貫通形式の工場溶接タイプ)梁フランジR=10R=35梁ウェブ図4 改良スカラップの例  (梁貫通形式)梁フランジR=35梁ウェブ図2 建築鉄骨におけるスカラップの例(柱貫通形式)      溶接構造物では多くの場合、溶接線の交差部にスカラップと呼ばれる扇形の切欠きが設けられます(図1)。スカラップを用いる理由としては、一般的に以下のことが挙げられます。1)溶接線の交差による応力の集中を防止する。2)熱影響の重なりによる母材材質の劣化を防止する。3)組立て後の主溶接線の連続性を確保して、欠陥のない健全な溶接が行えるようにする。しかし、鋼材性能や溶接技術が進歩した現在では、スカラップを設けない例も増えています。建築鉄骨の分野でも、従来より柱―梁接合部(仕口部)にはスカラップが設けられてきました(図2)。ところが、柱―梁接合部は地震などの際に最も大きな応力や歪みが発生するところであり、そこにスカラップがあると、ウェブの断面欠損やスカラップ止端部における応力集中などにより破壊の原因となることが、数年前から指摘されていました。折しも1995年1月の阪神大震災では、スカラップに起因した梁フランジの破断が実際に確認されています。このようなことから、最近スカラップを設けない工法が提案され、一部で実用化されています。これらの工法はスカラップを設ける場合と区別して、特にノンスカラップ工法と呼ばれています(図3)。ノンスカラップ工法は、スカラップ工法に比べて耐力・変形能力などの面で優れていることが各種の実験によって確認されていますが、施工方法については確立されていない部分もあり、そのため様々な方式のものが提案されています。また、柱―梁の接合形式によっては加工コストなどの面から、ノンスカラップ工法が現実的ではない場合もあり、いまのところ適用は限定されているようです。例えば、角形鋼管を用いた梁貫通形式では、ノンスカラップ工法を採用した場合、製作上の手間がかかりすぎるなどの問題があります。このような場合の対策として、従来のスカラップ形状を改善し、止端部の応力集中を低減した改良スカラップ工法も提案されています(図4)。ノンスカラップ工法、改良スカラップ工法については、日本建築学会の鉄骨工事技術指針・工場製作編(1996改訂版)に詳しく解説されていますので、興味のある方は一度ご覧になってください。(1997年5月号)ノンスカラップ222222


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