用語解説


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ここに2つの事実があります。その1:普通われわれが構造物を設計する際、引張強さや降伏点を基準にして板厚などを決定します。しかし構造物に大きな欠陥がある場合には無欠陥な試験片から求められた引張強さや降伏点を基準にして設計したのでは問題があります。図1を見てください。欠陥寸法が0の場合には確かに引張強さ(ΣB)が高いA鋼の方が破壊はしにくいのですが、欠陥が大きくなると引張強さの低いB鋼の方が破壊しにくくなるのが普通なのです。その2:アメリカの“自由の鐘”はかなり派手に割れているのをご存知ですか。この割れは鐘が打たれるごとに成長したものですが、この割れをよく見ると割れの途中に多数のドリル穴があること、また割れの長さが長くなるにつれてドリル穴がひんぱんにあけられていることがわかります。すなわち先人は生じた割れの先端に穴をあけて曲率半径を大きくすれば割れは一時停止することを知っており、また割れの長さが長くなるほど破壊されやすいという記録が残っていることになります。以上の事実より構造物の破壊は欠陥の先端が鈍いこと、欠陥の寸法が大きいこと、材料が硬いこと、などが満たされれば容易に生ずると言えます。このような欠陥が存在している構造物の強度特性を表示する尺度(パラメータ)を探し、それを用いて強度特性を明らかにし、構造物の破壊防止に役立たせようとするのが「破壊力学」と言われているものです。KCとかCODはこの強度特性をあらわすひとつの尺度(パラメータ)で紙面の関係でここではCODのみについて簡単に説明しまてす。CODはCRACKTIPOPENNINGDISPLACEMENTのことで、日本語では“き裂先端開口変位”(現在ではき裂先端開口変位)と言います。COD試験は英国規格のDD―19(DD―19は廃止されており、現在ではBS7448等が用いられる)に詳細が述べられていますが簡単に説明しますと図2(A)に示したように、き裂を有する試験片を用いて曲げ試験を行います。この試験片に除々に力を加えてゆくと、曲率半径が0であったき裂の先端は図2(B)に示すように次第に開いてくることは容易に理解できるでしょう。そしてき裂の先端が限界まで開いた後に試験片は急速に破壊してしまいます。この急速に破壊することを“不安定破壊”といい荷重増加を伴うことなく破壊が急速に進行する破壊を言います。CODとはこの不安定破壊が起る直前に曲率半径が0であったき裂の先端が何㎜開いていたかということを意味しています。いいかえればCODとは不安定破壊が起るまでにき裂先端部がどのくらい“がまん”してもちこたえてくれるかをき裂先端部の開口量で示しています。勿論、ねばい材料ほど開口量が多く、高いCOD値を示すことは容易に理解できると思いすま。また衝撃試験と同じく試験温度が低いほどCOD値は低くなります。COD値に関してはまだ本格的な規格は制定されていませんが、構造物が使用される温度で0.2㎜以上とか0.25㎜以上がひとつの目安としてよく話題になる値です。(1979年11月号)“COD”{現在ではCTOD(CRACKTIPOPENNINGDISPLACEMENT)と表現される。以下同様。}178178


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