用語解説


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産業の進歩の陰には新素材の開発が重要な役割を果しています。新素材を開発する手段として、高い圧力を利用する方法と高い圧力と高い温度を同時にかける方法が用いられています。圧力をかける方法の一つにCIPがあり、圧力と温度を同時にかけることのできる方法の一つにHIPがあります。CIPはCOLDISOSTATICPRESSINGの略で「冷間等方圧加圧」と言われており、常温下で3次元的に均一な圧力をかける方法を意味しています。また、HIPとはHOTISOSTATICPRESSINGの略で「熱間等方圧加圧」と言われており、3次元的に圧力をかけると同時に加圧中に温度を上げることができる方法を言います。CIP装置はHIP装置(図1参照)から加熱装置を取除き圧力媒体に液体を用いたものです。試料はゴム型につめて加圧されますが、一般にゴム型の中はHIPのように真空脱気処理が行われません。加圧は5,000気圧程度が用いられています。CIPは常温で加圧のみを行う装置であるため、CIP処理後の充填率は7割程度であります。そのため、CIP処理後、製品内部の空孔をなくすために、焼結処理を施すのが普通です。一方、HIP装置は、図1に示すように、圧力容器に気体の圧力媒体で加圧すると同時に圧力容器内の加熱装置も使用できます。HIPの圧力媒体はアルゴンや窒素ガスなどが主に用いられますが、最近は超伝導材料である複酸化物セラミックスや酸化物セラミックスの処理にアルゴン/酸素混合ガスを用いる場合もでてきています。HIP処理する前には、試料をガラスや金属などの容器で真空封入しておく必要があります。加圧は一般に1,000∼2,000気圧程度で行われ、温度は2,000∼3,000℃が用いられます。HIP処理したものの特徴は充填率は100%になり、内部に気孔などの欠陥がないことです。CIPやHIP処理を行うと試料は著しく変形しながら緻密化していきます。このため、最終製品にできるだけ近づけたニヤネットシェイプにして、その後の加工工数を軽減する努力が行われており、最近はコンピュータシュミレーションなどで予測する技術も進んできています。CIPおよびHIPは最近注目されてきた技術であり、CIP装置は国内で現在500台程度が稼働しています。また、HIP装置は70年代に国内での総稼働台数が10台程度であったものが、’89年には200台以上の装置が稼働するに及んでおります。CIP装置およびHIP装置に関してはともに神戸製鋼がトップシェアを占めています。CIPは窯業業界、浸漬ノズル、粉砕ボール、スパークプラグ、アパタイトやフェライトなどの製造に応用されています。また、HIPの利用はセラミックスおよび複合材料関係が多く、超伝導セラミックスへの適用も検討されています。また、生産用途では超硬合金およびフェライトの焼結欠陥除去が二大用途であり、それぞれ高級グレードについてはHIP処理が行われています。特に、磁気ヘッド用のソフトフェライトについてはわが国が圧倒的に世界をリードし、HIPフェライトの供給基地となっています。金属関係では、高速度鋼ビレットの生産などのほかに、複合タービンホイール、複合バルブボディ、B/A複合パイプ、ベアリング、鋼製シリンダの内面に耐食性合金をクラッドした射出成形機用複合シリンダなどがあります。(1990年3月号)CIPとHIP写真1HIP装置例177


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