用語解説


>> P.166

゜最近は溶接構造物が大型化して、板厚50∼100㎜程度の超厚高張力鋼板を用いて、溶接継手を作ることが多くなっています。“ラメラテア”とは、このような継手で溶接時または使用時に圧延鋼板の板厚方向に大きな拘束を受け、板面に平行に階段状に生じる割れのことを言い、層状はく離とか層状割れとも言われています。ラメラテアは、一般に広く実用されている軟鋼やHT490のほか各種高張力鋼とか低温用鋼などの圧延鋼材に発生します。そしてこれは大型でかつ拘束の大きい継手に起こりやすい傾向があります。図1はラメラテアの代表例を示しています。同図(A)(B)は、T形多盛溶接継手の熱影響部近傍を割れが階段状に伝ぱしたものです。また、(C)は板厚中央付近の母材を伝ぱしたものです。このようなラメラテアはいろいろと検討された結果、次の二つのタイプに大別できることがわかっています。①溶接直後に起こる収縮ひずみによって圧延材中の非金属介在物と母材の境界にクラックが発生し、その後水素と拘束によって割れが伝ぱして互いに連なってマクロ的な割れとなるもの。②ルートまたはトウ部から発生した低温割れが、母材中の非金属介在物に沿って伝ぱしていくもの。・ラメラテアの発生する要因とその対策いままでのことでラメラテアとはどのようなものかが理解していただけたと思いますので、次にラメラテアの要因と防止対策についてお話ししたいと思います。これらのことは鋼材そのものと設計・施工上の二つの面から考えることができます。まず鋼材の化学成分的には、ラメラテアの発生に対してはS含有量が著しく影響し、そのほかにO,SI,ALなども影響します。これらはいずれも鋼材中に非金属介在物をつくりやすい元素でこれらの非金属介在物を減らすことにより、ラメラテアを防止することができます。図2はS含有量とラメラテアの関係を示しています。また耐ラメラテア鋼として、このような非金属介在物を極めて少なくしたり、その形状を改善した鋼材もあります。次に設計施工上での要因としては、溶接部にかかる曲げおよび引張りの拘束の大きさや溶接金属の強度とか拡散性水素量の問題などが挙げられます。具体的に言いますと、開先形状とか継手形式を変えて角変形が大きくならないようにしたり、積層法を改善したりして曲げ拘束力を緩和してやることが必要です。また予熱や後熱を適切に実施したり、低水素溶接材料を採用することも有効です。図3にラメラテア防止法の数例を示します。(A)は鋼板の板厚方向に引張りの拘束がかからないような継手形式にする方法、(B)は開先形状など変化させる方法です。(C)は溶接手順を左右対称として一部に極端な応力の集中を防ぐ方法。(D)(E)は、積層法やバタリングまたは低強度溶材を用いて継手にかかる拘束を緩和したり、トウ部をグラインダ仕上げすることにより応力集中を減らして低温割れなどを防止する方法です。以上のようにラメラテア防止法はいろいろ考えられます。鋼材的に改善した耐ラメラ鋼を使用するのも有効ですが、やや高価になりますから、普通の鋼板を用いて、図3のような溶接施工上での工夫でラメラテアを防止することの方が有効でしょう。(1980年12月号)ラメラテア166166


<< | < | > | >>