用語解説


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PWHTとは、英語のPOSTWELDHEATTREATMENTの略で、日本語では、溶接後熱処理といいます。つまり、溶接後に、その溶接部に施される熱処理を総称する言語です。PWHTには、その目的に応じていくつかの種類があり、それぞれ別個の名称が与えられています。代表的なものに、SR(STRESSRELIEFの略。応力除去焼鈍)があります。このPWHTは、溶接部を一定の高温度(鋼種によって異なるが500∼700℃)に保持し、ゆっくり冷却する操作をいいます。この目的は、溶接部の残留応力を低減・均一化し、硬さを減少させ、あわせて溶接部の材質を改善して靭性(ねばさ)を増すことなどによって、割れの発生や、割れが存在した場合でも、その溶接構造物が壊れれてしまうことなどの危険性を減らします。SRは、通常上述の温度で、0.5∼数十時間の保持時間の条件で行われますが、溶接部の母材および溶接金属の材質と板厚に応じて、熱処理の適正温度・時間を選ばねばなりません。というのは、SRは、上述のような効用ばかりを持つとは限らないからです。80KG/㎜2級の高張力鋼のように、SRにより材質がもろくなる(SR脆化)場合もあり、また、SRにより割れが発生する(SR割れ)場合もあるからです。さらに、全体の強度も下げますので、過度のSRは、強度不足を招きます。従って、SRを実構造物に適用するにあたっては、事前の十分な調査により、その利害得失を知っておく必要があります。次によく行われるPWHTとして焼ならし(NORMALIZING)があります。これは、主として、溶接後にその構造物を熱間加工したい場合に付随して行われるもので、通常800℃∼950℃の高温度に加熱されます。加工などの目的達成後は空冷されます。この場合も、溶接部にとっては、その利害得失は、さまざまです。溶接のまま(ASWELD)に比べ、強度はかなり低下しますし、靭性も、良くなったり悪くなったりします。従って溶接材料の選定は難しくなります。なお、焼ならしのままでは、悪い靭性しか示さないものでも、その後、さらにSRを施すことによって、しばしば靭性が回復することがあります。このように、PWHTを2段に行うことも、しばしば行われる技法です。最後に、焼入れ(QUENCH)と焼戻し(TEMPER)があります。これは、上述の焼ならしの場合のように熱間加工が必要で、しかも適当な高い強度と、高い靭性が必要であるといったような特殊な目的のために行われるものです。まず800∼950℃の温度から、水または油などによって急冷(焼入れ)して、溶接部の結晶を微細化し、これを600∼700℃に加熱して空冷(焼戻し)することにより、適当な強度と高い靭性を確保します。以上のほかにも、PWHTの種類は考えられますが、いずれも、上述のPWHTの組合せと考えられましょう。(1981年6月号)PWHT154154


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