用語解説


>> P.151

-300-200-1000100200300ΣY(N/MM2)有限要素法(FINITEELEMENTMETHOD)、あるいはマトリックス法は、溶接の研究にたずさわった人なら一度は耳にした言葉であり、溶接部材の残留応力、ひずみなどを取扱っていれば、おなじみの方も多いと思います。有限要素法とは一体何か?単純にこれを“有限個”の単語に分割して説明すると、有限とは「限りがあること」、要素とは「物事の成立に必要なもと」、さらに法とは「方法、手段」となります。ただし、各単語の前後には「…の」「…を」、「…して」とか言った言葉が必要なようです。これに若干の技術的知識を加味すると、有限要素法とは「条件が複雑で解析が困難なものを、有限個の単純な要素に分割して解析する方法」と言うことができます。例えば、図1に示すような中央に孔のあいた板があって、両端を引張った時に、板の各部分にどのような力が、どのような方向にかかって、その結果、各部分がどの程度動いたかを知りたいとします。もちろん、ひずみゲージを板の全面に張りつける方法もありますがそのような方法をとらずに、結果を計算で得ることができます。すなわち、板を節点で繋がれた50個の三角形要素(図2)から成ると仮定し、まず各要素の節点変位と荷重の関係式を求め、さらに板全体の関係式を得ます。次にこれを境界条件等のもとに解析すれば、各要素にかかる応力やひずみを数値的に求めることができます。図3は溶接を仮定して、平板の中央部を瞬間的に加熱(873K)した場合の熱応力を有限要素法により求めた例を示したものですが、有限要素法による解析結果は、他の方法で測定された値とよく一致しています。なお、要素の設定にあたっては十分な経験と知識が必要で、例えば図3において、各要素の大きさは熱源に近いもの程小さくなっています。これは熱源に近い程、応力、ひずみなどの変化が急激で細かい解析が必要なためです。また、必要以上にモデルを複雑化したり、分割要素数を多くしたりすることは、解析結果の解釈を誤らせる危険があり注意が必要です。有限要素法は、元来構造工学の分野で発展、活用されてきた手法で、最近になってコンピュータの発達により計算、解析が容易になって、溶接の分野でも、熱応力、ひずみなどの解析に利用されており、今後さらに、溶接割れの防止対策などに役立つよう努力が続けられています。なお、本誌ではできるだけ平易に解説を試みましたが、ページ数などの関係で十分な説明が果たせませんでした。さらに理解を深めたい方は、参考文献などをご活用願います。(参考文献)上田幸雄,山川武人:有限要素法による熱弾塑性挙動の解析,溶接学会誌,42巻6号(昭48),567∼577O.C.ZIENKIEWICZ:マトリックス有限要素法,培風館,1975年三好俊郎ら:有限要素法,実教出版,1976年(1979年9月号)有限要素法151


<< | < | > | >>