用語解説


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溶接部に発生する割れは、割れが発生した時の温度により、“高温割れ”と“低温割れ”に大別することができます。このうち低温割れは、“遅れ割れ”とも言われるように、溶接完了から数時間∼数日後に発生するものです。だから、“次の日の朝、見てみたら割れていた”というような事件が起こりうるのです。この種の割れは特に高張力鋼に発生しやすいので、溶接材料の選定や溶接施工管理には十分に注意しなければなりません。窓型拘束割れ試験とは、特にこの低温割れを調査するための割れ試験の1種です。この試験の方法は、読んで字のごとく図1のような、中央に“窓”(四角の穴)のある厚鋼板に試験板を取付けて溶接するというものです。この試験方法を用いますと、開先片側の溶接だけでなく、拘束を与えたままの状態で開先両側の溶接をすることができます。つまり、実際の構造物に近い条件(板厚・開先形状など)で試験ができます。これがこの試験方法の大きな特長です。そのためにこの試験は実工事における予熱・パス間温度などの熱管理の確認のような使われ方をします。溶接が完了したら、数日間はそのまま放置しないといけません。この期間中に溶接時に閉じ込められた水素が、大気中へ逃げようとしているからです。この水素が素直に大気中へ逃げてくれれば問題はないのですが、溶接部の一部分に集まることがあります。そこは、溶接残留応力が高い、微小な欠陥のあるというような場所です。このような場所が水素にとって住み心地が良いのです。水素が多く集まると割れが発生しやすいことは、よく知られているところです。このような理由で、溶接完了後、そのままの状態で数日間放置することが必要となります。そして、鋼板から試験板をはずし、X線透過試験、超音波探傷試験、断面観察などにより割れの発生の有無を調べます。なお、本試験方法はJISなどに規格化されていませんので、試験板の形状、寸法などは、試験目的に合わせて、適宜選択することができます。写真1および写真2には、本試験によって発生した低温割れの一例を示します。このように、本試験によって発生する割れは、溶接線方向と直角な、いわゆる横割れが一般的です。(1986年12月号)窓型拘束割れ試験写真1低温割れの一例(縦断面部)写真2低温割れの一例(横断面部)145


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