用語解説


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2相ステンレス鋼はフェライト相とオーステナイト相からなるステンレス鋼であり、凝固点直下の温度ではフェライト単相状態ですが温度が下がるにつれてオーステナイト相が析出し、室温では2相組織となります。写真1は2相ステンレス鋼母材の顕微鏡組織でありますが、フェライト地中に島状のオーステナイトが分布した組織になっています。写真2は316Lタイプのオーステナイト系ステンレス鋼と2相ステンレス鋼の溶接金属の顕微鏡組織を比較したものです。316Lはオーステナイト地に少量のフェライトを含んだ組織でありますが、2相ステンレス鋼はフェライト地に比較的多量のオーステナイトが分布した組織となっています。2相ステンレス鋼の溶接金属と母材ではオーステナイトの分布状態が異なっていますが、これは溶接金属がいわゆる“鋳造組織”の状態であるためです。従って約1,100℃の温度で固溶化熱処理を行うことにより溶接金属も母材の組織に似てきます。2相ステンレス鋼はフェライト相とオーステナイト相の割合がほぼ50対50であり、フェライト系ステンレス鋼とオーステナイト系ステンレス鋼の中間的な特性を示します。各種性能の中でも耐食性が良好であることが最も特長的であります。特に塩化物に対する耐孔食性や、耐隙間腐食性および耐応力腐食割れ性に優れていますので、従来のオーステナイト系ステンレス鋼に代わって石油機器や熱交換器用チューブ・管板など耐海水性が必要な用途への適用が広がっております。さらに、全面腐食や粒界腐食性能にもすぐれていますので、尿素プラントへ適用された実績もあります。機械的性質では、引張強さが約800N/㎜2でフェライト系ステンレス鋼やオーステナイト系ステンレス鋼よりも高強度であります。また、低温靭性はオーステナイト系ステンレス鋼に比べると劣りますが、フェライト系ステンレス鋼よりも優れています。現在市販されている2相ステンレス鋼の中では22CR系(ASTMタイプ:22%CR-5%NI-3%MO-0.13%N)と25CR系(SUS329J2Lタイプ:25%CR-6%NI-3%MO-0.13%N)が代表的な鋼種であります。316Lと比較しますとCR,MO,Nが高くNIが低くなっており、このような成分差に応じて組織も変化し、フェライト量が約50%になり2相ステンレス鋼特有の性能が得られるわけです。2相ステンレス鋼はこのような優れた性能を有する反面、フェライトを多量に含みますので、高温で使用する際に脆化するおそれがあります。特にオーステナイト系ステンレス鋼に比べ475℃脆性やΣ脆性が短時間で起こりますので、高温で使用する際には注意を要します。一方、フェライト量が多いために―60℃以下では靭性が急激に劣化します。従って、脆化や低温靭性の点から2相ステンレス鋼の適用可能な温度には限界があります。2相ステンレス鋼の溶接はオーステナイト系ステンレス鋼と同じように行うことができます。しかし、過大な入熱で溶接しますと熱影響部が脆化したり耐食性が劣化することがありますので、適切な溶接条件を選定する必要があります。(1986年1月号)2相ステンレス鋼オーステナイトオーステナイトオーステナイトフェライトフェライトフェライトA)316LB)2相ステンレス鋼写真2溶接金属(×640)写真12相ステンレス鋼母材(×640)109


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