用語解説


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私たちの日常生活の中での身近なもの(例えば、洗濯機や炊飯器)の中にも、ニューロ、ファジィといった人工知能と呼ばれる技術が機械の中に組込まれて、私たちの生活をより快適なものにしています。人工知能とは、AI(ARTIFICIALINTELLIGENCE)ということもありますが、簡単にいえば『人によって作り出された知能』ということになります。こんな説明では、洗濯機や炊飯器の中に人間と同じ頭(脳)が入っているものと誤解されるかもしれません。最近の機械はコンピュータで動かされているものが多いのですが、このコンピュータが人工知能を可能にするものなのです。コンピュータは人間の頭(脳)に相当するものです。ただ、コンピュータは人間に比べて非常に速い計算能力をもっていますが、人間が指示した内容のことしかできず、人間のように考えることができないという弱点があります。そこで、人間の頭脳の中で働いているであろう“考える”という複雑なメカニズムを、コンピュータによって人間の思考に近い形で再現する技術が人工知能なのです。例えば、ニューロといった技術は、人間の脳の莫大な数の神経細胞(ニューロン)の働きを真似たものであり、ファジィといった技術は、“少し汚れている”、“もう少し加熱する”というような人間のあいまいな物事の考え方をコンピュータに取入れた技術です。だから、ニューロ、ファジィといった技術が組込まれた洗濯機や炊飯器は上手に仕事をしてくれるのです。人工知能の応用事例として、私たちの日常生活の中での身近なものを例に挙げましたが、工場や現場の中にもエキスパートシステムと呼ばれる人工知能を応用した技術が実用化されています。エキスパートシステムとは、熟練技術者のノウハウを『もし∼ならば、∼する』といったルールに置き換えてコンピュータにより高速演算し、短時間で熟練技術者のノウハウに近い結果を出力する技術です。例えば、工場での原材料の購入から製品の加工、出荷までの工程を従来人手により計画していたところに、このエキスパートシステムの技術を応用することで、コンピュータにより短時間で計画できるようになっています。また、産業用ロボットにも人工知能を応用した技術が実用化されつつあります。人間は、五感と脳がうまく働くことで、歩行したり、複雑な作業を行うことができますが、ロボットにも人間の五感に相当するセンサを取付け、人工知能の技術を使いコンピュータにより判断することで、人間に近い動きが可能となりつつあります。将来、人工知能の技術が発達することによって、SF映画の世界に出てくるロボットたちも夢ではなくなる日が来るかもしれません。(1995年2月号)人工知能73


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