用語解説


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表自溶合金粉末化学成分()1のJISH8303種類化学成分(%)残部以下以下以下―以下―残部以下以下以下―――残部以下以下―――残部以下以下以下以下―残部以下以下―――以下以下残部以下―以下以下以下残部――NICRBSICFECOMOCUWMSFNIMSFNIMSFNIMSFNIMSFNIMSFCOMSFCO10101.02.51.53.50.2541429111.52.52.03.50.541310152.03.03.04.50.40.751412172.54.03.55.00.40.95144515203.04.52.05.00.51.1511103016211.54.02.04.51.55710201519242.03.01.53.01.55415∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼自溶性合金は、CR,SI,Bを含むNIまたはCO合金で、自溶合金とか、コルモノイ合金などとも呼ばれています。この合金は、極めて硬いCR―Bなどを多く含むため耐摩耗性に優れ、また、耐食、耐熱性も良好です。肉盛溶接や溶射などによる表面硬化材料として広く使われています。肉盛溶接では、溶接材料は鋳造棒が多く用いられ、主にガス溶接やTIG溶接で施工されます。耐摩耗(高温)、耐食、耐熱性を生かして、舶用内燃機のバルブやポンプスリーブなどに使われています。しかし、一般に溶接性はあまり良好とはいえず、割れやピンホールの欠陥が出やすいため、適用範囲はかなり限られたものとなっています。一方、溶射では、もっともポピュラーな材料の一つであり、ポンプスリーブ、各種バルブ、ロール、ローラー類を初め、極めて広く耐食・耐摩耗コーティングとして用いられています。溶射材料としては表1に示すような粉末が用いられ、ガス溶射(フレーム溶射)やプラズマ溶射が行われています。これらを用いた溶射皮膜の高温硬さは図1のとおりで、かなり高温まで高い硬さを示しています。ところで、自溶性合金の「自溶性」とは何のことでしょう。自分で溶ける?まさか、そんな金属はないでしょう。どうも漢字ではわかりにくいので英語にきいてみましょう。SELF―FLUXING―ALLOYといいます。どうやら、“溶”はフラックス(溶剤)のことのようです。合金成分のSI,Bの一部が酸化物となって、ろう付けに用いられるフラックスと似たような成分のフラックスを生成するのです。「自溶性」とは自らフラックス(溶剤)を作り出すというような意味だったのです。では、自溶性とはどんな働きをするのでしょうか。金属の溶射膜は、一般にポーラスで、酸化物をかなり巻き込んだ状態となっています。自溶性合金の溶射膜では、溶射した後、被膜が少し溶融しだす温度まで再加熱すると、B,SIを含むフラックスが生成し、(自溶性)流動性の良い溶融ガラス状態となり、他の酸化物を取込みながら表面に浮上します。再凝固した皮膜は、気孔や酸化物がほとんどないち密なものとなり、同時に母材との密着性も大幅に増大します。このような、被膜の再溶融によるち密処理を、“フュージング”と呼び、自溶性をもっとも有効に利用した施工法です。合金成分のB,SIは、融点を下げ、かつ凝固温度範囲を広げることでフュージング処理をしやすくする効果も持っています。自溶性合金は、その出現により、ポーラスで密着性の弱いものという溶射膜のそれまでのイメージを一変させ、溶射の発達に大いに貢献した優れものの合金です。今後も各方面において、耐食、耐摩耗の必要なところで永く使われ続けることでしょう。(1989年3月号)自溶性合金71


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