用語解説


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溶接中、アークの中を高速度カメラなどを用いて観察すると、ワイヤまたは溶接棒の端が溶けて溶滴となり、溶融池の方へ移行している様子がよくわかります。溶滴の大きさや移行の仕方は溶接材料や溶接条件によっていろいろなパターンがあります。ここでは、そのうちグロビュール移行とスプレー移行について説明しましょう。炭酸ガス溶接を例にとりますと、小電流域ではジイーといった連続音でおなじみの短絡移行があります。短絡移行は溶滴の短絡と再アークを繰り返すものです。さらに、電流を上げていくと図1に示すグロビュール移行になります。グロビュール移行では、溶滴がアーク力による押し上げ力によって大きくなってからワイヤ端から離脱し、アーク中を母板上の溶融池に落下していくものです。いっぽう、AR―O2やAR―CO2の混合ガスを用いたMIGやMAG溶接は小電流域では、炭素ガス溶接と同様に、短絡移行しますが、臨界電流を超えると図2に示すスプレー移行になります。スプレー移行では小粒の溶滴がペンシル状にとがったワイヤ端から、連続的にアーク中を溶融池に向かって落下します。最近ではパルス電流を周期的に流すことによって、強制的に規則正しく、1パルス1溶滴のスプレー移行を行わせているパルスMAG溶接もあります。グロビュール移行とスプレー移行について、IIWの分類にしたがってまとめてみますと、グロビュール移行もスプレー移行も生成した溶滴がアーク中を自由に落下する移行形態に分類されておりますが、両者の違いは溶滴の大きさにあります。すなわち、溶滴がワイヤか溶接心線径より大きいものをグロビュール移行と呼び、逆に小さいものをスプレー移行といっています。(1985年5月号)スプレー移行とグロビュール移行図1グロビュール移行(ソリッドワイヤによる炭酸ガス溶接1.2㎜Φ,280A)図2スプレー移行(ソリッドワイヤによるAR-O2溶接1.2㎜Φ,300A)4646


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