用語解説


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化学機器、原子炉などの反応容器、貯槽、熱交換器などは一般に耐食性を要求され、その腐食環境条件に応じて各種のステンレス鋼、ニッケル合金、銅合金、チタン合金などの耐食材料が用いられています。ところでこれら耐食材料は、鋼材に比べてかなり高価であり、また一般に強度が低いことから、強度を得るための一般構造用鋼を母材とし、腐れ代として必要な厚みを持った耐食材料の合せ材をはり合せた複合材料が実用化されております。このような複合材料は、合せ材と母材の接合状態によりクラッドとライニングとに分類され、そのうちクラッドとは「ある金属を他の金属で全面にわたって被覆したもので、かつその境界面が冶金的に接合している。ただしメッキは除く」と定義され、母材が鋼材であればクラッド鋼と表現しています。また、ライニングとは「金属表面に他の物質(金属、無機質、有機質など何でも良い)を被覆することであり、特に金属ライニングはクラッドを含めず、互いを部分的に接合して被覆すること」を意味しており、クラッドとライニングとは区分されるものです。それでは、クラッド鋼の種類にはどういうものがあるでしょうか。使用目的別には、1種および2種に分類されています。前者は接合状態が厳しく制限され、なおかつ合せ材も強度部材に含めて設計してもよい材料として供給されるもので、後者はライニングの代りに使用する場合または、合せ材を強度部材に含めない場合などに使用されるものです。また、その製作方法を表して、圧延クラッド鋼、爆着クラッド鋼、肉盛クラッド鋼、あるいはそれらの組合せ(例えば肉盛圧延クラッド鋼など)に分類されます。現在JIS規格ではステンレスクラッド鋼(JISG3601)の他に、ニッケルおよびニッケル合金クラッド鋼(JISG3602)、銅および銅合金クラッド鋼(JISG3604)、チタンクラッド鋼(JISG3603)が規定されています。以上のように耐食性に優れ、強度材料として利用でき、またソリッド材に比べて安価であるなどの特徴を持つクラッド鋼ですが、溶接を行うに当ってはソリッド材以上の注意を払う必要があります。溶接によって母材が溶け、その結果溶着金属が母材の希釈を受けるのはクラッド鋼の常で、母材は炭素鋼であり、合せ材側の溶接を行う場合、鉄の希釈がさけられません。ところが合せ材側溶接部は、一般に鉄で希釈されると耐食性能、冶金的性能が劣化するため、できる限り耐食面(合せ材表面側)では母材の影響を低く抑えることが必要となります。そのため、多層仕上げが必要になりますが、通常合せ材は薄く(2.5∼4T)積層数が限られます。このように、クラッド鋼の溶接においては希釈率の影響を十二分に配慮すべきで、希釈率制限を行うためには、適正な溶接方法、溶接材料の選定と、更に最適の溶接条件設定が必須となるのは言うまでもありません。(1981年3月号)クラッド鋼4242


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