用語解説


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“キュプロニッケル”のキュプロ(CUPRO)は「銅」を意味する意味で、キュプロニッケルは、銅―ニッケル合金のことです。通常、銅にニッケルを10%∼30%含むものが用いられ、銅とニッケルの比をとり、10%ニッケルのものを9/1キュプロニッケル、30%ニッケルのものを7/3キュプロニッケルと呼びます。銅合金は、中性から塩基性の腐食環境に対する耐食性に優れており、なかでも、キュプロニッケルは、特に海水に対する耐食性が良好なため、海水を使用する設備に多く用いられています。近年、中東向大型プラントとして、しばしば話題となる、海水淡水化装置は、キュプロニッケルのひのき舞台といえます。一般に、ニッケルの量が多くなるほど、耐食性は良くなり、引張強度も高くなりますが、コストもニッケルとともに高くなるため最近では、ニッケルの低く安価な9/1キュプロニッケルが多く使用されています。一般にキュプロニッケルは構造用部材としては強度が低く、しかも高価な材料であるため、薄いキュプロニッケルを鋼板(軟鋼や高張力鋼)に貼り合せたキュプロニッケルクラッド鋼が開発されています。クラッド鋼では、合せ材としてのキュプロニッケルは耐食材料とし用いられ、強度は鋼板でもたせようとする合理的な材料で、用途は広く、最近多く用いられています。キュプロニッケルの溶接性は銅合金の中では良好です。銅や他の銅合金は熱伝導度が高いものが多く、予熱が不十分だと、融合不良などが起こりやすいのですが、キュプロニッケルでは、熱伝導度は低く、予熱を行わなくても容易に溶接を行うことができます。ただし、クラッド鋼の溶接ではいくつかの注意が必要です。まず第一に母材側の溶接を行うときにキュプロニッケルを溶かさないようにすることです。わずかでも溶かすと割れが発生しますので注意する必要があります。次にキュプロニッケル側の溶接では、共金系の材料で溶接を行いますが、キュプロニッケル中に鉄が多く入ると耐食性機械的性能が劣化するため、母材側をできるだけ溶かさないように溶込みの浅い溶接を行い、かつ3層以上の多層溶接が必要です。キュプロニッケルはその優れた特性を生かして今後、用途は拡大して行くものと思われます。最近では、船の外板を全てキュプロニッケルで造った、キュプロニッケル船が建造されています。この船は、キュプロニッケルが耐食性に優れているため、塗装は不用で、また、外板への海用生物の付着などがなく、燃料の大幅な節約ができるなど、経済性に優れた船として注目されています。(1982年12月号)キュプロニッケル4040


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