用語解説


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/キャリブレーション(CALIBRATION[N]<CALIBRATE[V])という言葉を辞書で調べてみると、CALIBER:銃砲の口径、という言葉がもとになっていることがわかります。また、カリパス(CALIPER:測径器)とも親せきの言葉です。これらは、アラビア語の「鋳造する」という言葉が語源になっています。むかし、アラビアで鉄砲の玉を鉛を溶かして作る時に、ちゃんと口径に合うように測りながら作ったのでしょう。さて、現在はJIS規格(8103:計測用語)に、「校正:標準器、標準試料などを用いて計測器の表す値とその真の値との関係を求めること。」とあります。日常的には校正の方は文章の間違いを直す時に使い、キャリブレーションの意味では較正の方を使うことが多いようです。いま、ここにものさしAがあったとします。ところが、買う時に値切ったらしくどうも目盛りが信用できません。そこで、誰かに正確なものさしB(高かった!)を借りてきて比べてみると、Aで測って15㎝のものがBで14㎝でした。よって、Aで測った値に14/15を乗ずると正確な長さが求められることになります。このように、キャリブレーションをしておくと、計測器の精度を標準となるもののレベルまであげることができます。溶接ロボットの場合、トーチを何かにぶつけて曲げてしまうことがあります。その場合、アーク点の位置が狂ってしまい、いままでの教示プログラムが使えなくなります。そこで、アーク点調整用治具をロボット手首に取付け、それを基準としてトーチを元に戻せば、また同じプログラムが使えます。これも治具を標準器としたキャリブレーションといえるでしょう。また、ロボットの関節の角度やアームの長さが正確にわかっていなければ、トーチなどのツール先端は計算どおりの位置・姿勢になりません。そのため、基準の姿勢をとらせて水準器で水平、垂直を出したり、同一点に対し異なる姿勢をとらせることで、計算によりキャリブレーションします。最近、実物のロボットやワークを使わずに、パソコンによってオフラインで教示することが多くなってきました。そうなると、パソコンの中の理想的なロボットやワークと、誤差を持つ実物のロボットやワークとの位置・姿勢や寸法の関係をなんらかの方法で求める必要があります。この場合はものさしのようには簡単にはいきません。パラメータの数も多く、計測も3次元で行う必要があります。測量器を使って据え付け位置を求めたり、ロボットそのものを標準器にしたりするなど、状況に応じていろいろな手法が考えられています。(1994年10月号)こうせいこうせいキャリブレーション(校正または較正)39


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