用語解説


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検査面粉砕模様磁粉探傷は、試験品の表面およびその近傍の欠陥検出能力が優れているので、溶接継手部の健全性の確認に、広く活用されています。この方法は、試験品に欠陥があると、その部分は透磁率が低いので、図1のように磁束が漏れ、鉄粉が集まることを利用して、感度良く欠陥を検出する方法です。しかし、検出感度が高すぎるため、欠陥が存在しないのに、磁粉が集まることがあります。これを“疑似模様”と呼びます。疑似模様は、試験品の表面が粗い、断面積が急変している、他の磁界の影響がある、大電流により局部的に磁化している、材質変化があるなどの場合に発生すると言われています。溶接継手では、一種の材質変化の境界で、よく疑似模様に出くわします。例えば、母材と溶接金属の境界、多層溶接部のパスとパスの境界、ミクロ組織の不連続部などです。そして、原因の多くは透磁率の不連続と考えられるものです。以下に例を挙げて説明します。写真1は、軟鋼の多層サブマージアークすみ肉溶接部です。この継手のビード表面を研削し、溶接方向に磁粉探傷したところ、写真2のような磁粉模様が全溶接長に発生しました。よく見ますと溶接部の中でも模様の発生しているところとそうでないところがあります。さらに詳しく観察しますと、発生しているのは後続溶接パスによる熱影響を受けていない樹技状晶部であり、そうでないのは後続パスの熱影響をうけた再熱部でした。では、なぜ樹技状晶部に模様が発生したのでしょう?顕微鏡で観察しますと、樹技状晶部は、写真3のように、長く大きい初析フェライトと微細な針状フェライトの混合組織であり、再熱部は、比較的均一な塊状フェライト組織でした。そして模様は初析フェライト上か初析フェライトと針状フェライトの境界に出ているようなのです。二つの組織は、もちろん欠陥ではありませんし、炭素鋼の溶接金属では必ず存在する組織です。そんな組織の不連続部でさえ透磁率の差が原因と考えられる疑似模様が発生することがあるのです。溶接継手では、上記の例以外にも疑似模様が出ることは少なくありません。欠陥が多発したと驚いて手直しをする前に、カラーチェックで確認するなり、もっと厳密にやるのなら研磨、腐食の後酢酸セルローズフィルムでレプリカをつくり、顕微鏡で観察するなどすべきでしょう。参考資料産報出版:溶接全書16、溶接部の非破壊試験検査日本非破壊検査協会:非破壊検査技術シリーズ、磁粉探傷試験A(1989年8月号)疑似模様写真1検査溶接部写真2磁粉模様の発生状況写真3樹枝状晶部3838


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