用語解説


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溶接では、いくら優れた材料を使っても溶接施工が適切でないと目的の性能・品質は得られません。十分な性能・品質を得る条件の一つに溶込みがあります。溶込みは、アーク熱により母材が溶融して起こりますが、これには5,000∼10,000度といわれるアーク熱が直接母材を溶かす直接作用と生成した溶融金属を介して熱伝導により母材を溶かす間接作用の二つがあります。これらの作用には、溶接法、溶接条件、母材材質、板厚、開先形状などが影響します。この溶込みの大きさを表わす尺度として「希釈率」(溶込み率ともいう)があり、図1のように示した時、次式で表わされます。希釈率または溶込み率=B───A+B×100(%)希釈率のコントロールはステンレス鋼溶接材料を使って行う異材溶接の場合とくに重要で、溶接条件の選び方によっては溶接金属に様々な問題が生じます。例えば、SUS304と炭素鋼の異材継手や炭素鋼の上に308系ステンレス鋼溶接金属を肉盛りする場合などの初層溶接では、炭素鋼の希釈を受けるために溶接材料には309系ステンレス鋼溶接材料を用いますが、異材突合せ継手を例にとってシェフラの組織図(図2)を使って考えてみます。図に示す組合せで、炭素鋼とSUS304が同じ割合で溶込むとするとA点の化学組成を有する母材をD309で溶接することになり、出来上がる溶接金属の化学組成は、A点とD309の点を結ぶ線上にあり、その位置は希釈率によって変化します。ここで希釈率が33%以上(D点より左)では、フェライトがなくなり高温割れが発生するようになり、逆に希釈率が低過ぎるとフェライト量が多過ぎてSRによりΣ相が析出し曲げ試験で割れたりします。このように希釈率をコントロールすることは、異材継手溶接や肉盛溶接の性能・品質を確保する上で非常に重要です。(1987年12月号)希釈率(溶込み率)37


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