用語解説


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エアプラズマ切断法の原理を図1に示します1)。電極と母材間に電圧を印加することによって、同軸で流す圧縮エアをプラズマ化して母材を局部的に溶融し切断するのがエアプラズマ切断法です。現在市販の装置には、適用板厚に応じて定格電流10Aから100A2)を越えるものまで多くの機種があります。エアプラズマ切断法の最大の特徴はその名称からわかりますように、特殊なガスを用いず空気(エア)のみで鋼材、ステンレス鋼の他にアルミ合金、銅合金などの非鉄金属の切断が可能なことです。実用的な切断板厚は最大で40㎜程度までですが、従来のガス切断に比較して板厚が薄くなるほど切断速度が著しく速くなります。図23)に軟鋼のエアプラズマ切断における切断電流と切断速度の関係を示します。この図からも明らかなように、エアプラズマ切断法のうまみはなんと言っても薄板の高速切断にあるようです。さらに切断速度が速いのみでなく、数㎜以下の薄板ではガス切断より切断部の品質は良好なようです。エアプラズマ切断のノズルは母材に接触させて切断作業を行うことができます。これは空気を使用するため、ノズル口径とエア流量を適切にすると電極―ノズル―母材に流れる切断に不要な電流を小さくできるからです。切断部の品質、切断作業時の操作性および安全性の観点から、接触切断はユーザにとってエアプラズマ切断の魅力の一つです。優れた特徴を有しているエアプラズマ切断法ですが、問題点もあります。その中の一つは酸素を含むエアプラズマ中では電極の消耗が避けられないということです。実際の電極としては高温の酸化性雰囲気中でも比較的消耗の少ないジルコニウムやハフニウムを銅に埋め込んだものが使用されています。アーク発生積算時間が長いほど、またアークスタート回数が多いほど電極の消耗は著しくなり、電極の消耗を完全に抑えることは難しいようです。従って電極は定期的に交換する必要があります。問題点の二つめとしては、鋼材をエアプラズマ切断すると切断面が窒化されることです。そのまま溶接すると、この窒化層によって溶接部に気孔が発生することがあります。酸素プラズマを使用すれば窒化は防止できるので、鋼材の切断には用途に応じてガスを使い分ける必要があります。以上をまとめると動作ガスとして空気を使用することがエアプラズマ切断法の長所と短所を同時に生み出しているのです。上手に使えば大変に経済的で個性的な切断方法のようです。参考文献1)山本:小型エアプラズマ切断の最近の動向、溶接学会誌、VOL.55(1986)NO.6,PP3612)山本、原田:厚板切断用エアプラズマ切断機の現状、溶接技術、1990NO.11,PP1073)プラズマ切断、溶接技術、1991NO.5PP150(1991年9月号)エアプラズマ切断21


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