用語解説


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ウォームホール(WORMHOLEPOROSITY)とは気孔欠陥の一種です。溶接金属に発生するウォームホールの定義としては、BS規格などの諸規格やIIW(国際溶接学会)などでやや異なりますが、広義には溶接ビードの内部や表面に発生した“いも虫状”あるいは“みみず状”の細長い気孔であると言われています1)。一般にウォームホールは、すみ肉溶接ビード、特に鋼材表面に無機ジンクプライマ、ウォッシュプライマなどの一次防錆塗料、ニス、油、錆およびミルスケールなどが存在する場合にしばしば発生することが知られています。これは、防錆塗料などが溶接の際に燃焼し、発生するH2,COなどのガスが溶融金属の凝固過程において、ビード内部の固液界面あるいはビードとスラグとの界面に連続的に供給され、凝固の進行にともない、その方向に成長した気孔と考えられます。そこですみ肉溶接部に発生するウォームホールの発生形態を理解していただくために、ブローホール、ピットとの比較で説明します。図1は、T型すみ肉継手溶接部に生成した気孔の模式図を示します。このうちビード表面に見られる気孔としては、球状に開孔したものをピット、また、長手方向に伸び、かつ凹み(ピットを併発する場合も多い)を有するものをウォームホール(俗にガス溝と呼ばれる)と称し、特にビード表面にスラグが覆う溶接法で発生するようです。いっぽう、溶接金属内に残留した気孔としては、細長く伸びたものをウォームホールといい、また球状のものをブローホールと称しています。写真1に炭酸ガスアークフラックス入りワイヤによるショッププライマ塗布鋼板の水平すみ肉溶接部の表面で発生したウォームホール(ガス溝)の形態の一例を示します。また、写真2はすみ肉溶接部の内部に発生したウォームホールの形態の一例を示します。これらの写真から気孔や凹みが細長く伸びているのが認められます。以上、ウォームホールについて簡単に説明しましたが、このウォームホールは、溶接手直しの対象になるのはもちろん、溶接継手性能を劣化させますので、できるだけ発生を防止しなければなりません。そのため、溶接材料、溶接施工法・条件、および鋼材表面状態について、事前に十分な検討が必要かと考えます。(参考文献)1)WELDINGINSTITUTEMEMBERSREPORT386/1988,391/1989(1992年1月号)ウォームホール写真1水平すみ肉ビード表面のウォームホール(ガス溝)例写真2水平すみ肉ビード被断面のウォームホール例19


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