技術レポート

神戸製鋼所溶接事業部門発行の技術誌「技術がいど」。この中の「技術レポート」コーナーを2005年1月号からこれまでをまとめた電子カタログです。


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技術レポート[VOL.492009-4]-2-2.原子炉容器用鋼材溶接部を含む原子炉容器の構成材料は、安全性の観点から信頼性の高い高品質の材料であることが必須条件である。稼働時の高温環境で十分な強度を有することは勿論、緊急停止時の高応力負荷時においても脆性破壊を発生しない十分な破壊じん性を有すること、さらには良好な溶接性や成形性を有し欠陥を発生しないこと、中性子照射脆化特性が優れること、誘導放射性元素が少ないこと、等様々な厳しい要求が課せられる。国内規格において、原子炉容器に使用される鋼材は「通産省告示第501号」2)の第一種容器、近年では「発電用原子力設備規格設計・建設規格」3)のクラス1容器に適合するもの、または、これと同等以上の化学成分および機械的強度を有するものでなくてはならないと規定されている。要求される材料試験についても試験片の採取位置や採取方向、熱処理等も細かく規定され、破壊じん性試験や非破壊試験も要求される。破壊じん性試験は、MN-MO-NI鋼を含むフェライト鋼が低温で脆化することから、使用環境における脆性破壊の有無、破壊に対する抵抗を評価するために実施される。発電用原子力設備規格においては、破壊じん性の評価指標として「関連温度(RTNDT)」が規定されている。このRTNDTは、落重試験で求められる無延性遷移温度TNDTより33℃高い温度でシャルピー衝撃試験を行い、吸収エネルギーが十分高いこと、十分延性的な破壊を呈することが確認された場合のTNDTを指すものであり、具体例として表2に示す決定方法に従い判定が行われる。RTNDTの要求値は、例えば図1に示すような使用環境温度(T)と応力拡大係数(KIAPP)との相関関係から導き出されている。原子炉容器用鋼材においてはRTNDTを向上させるため、焼入れ性向上元素としてMN,MO,NI等の添加、P,S等の不純物元素の低減等の手法がとられている4)。表2RTNDTの決定方法(発電用原子力設備規格設計・建設規格による一例)項目判定基準落重試験落重試験において2個の試験片が非破断である温度より5℃低い温度をTNDTとする。シャルピー衝撃試験TNDT+33℃以下の温度で衝撃試験を行い、3個の試験片全てが①吸収エネルギーが68J以上②横膨出量が0.90MM以上の両条件を満足するとき、TNDTをRTNDTとする。020406080100120140160180-100-80-60-40-20020406080100T-RTNDT(℃)KIAPP(MPA√M)図1応力拡大係数(KIAPP)と関連温度(RTNDT)、使用環境温度(T)の相関(発電用原子力設備規格設計・建設規格添付4-1による)


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