溶接110番

神戸製鋼所溶接事業部門発行の技術誌「技術がいど」。この中の「溶接110番」コーナーをまとめた電子カタログです。


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耐摩耗鋼は建設機械、鉱山設備、コンクリートミキサー、土砂運搬用機器、車輌など耐摩耗を必要とする箇所に広く使用されています。エバーハードは旧NKK(現JFE)の溶接性の良好な耐摩耗鋼です。この種の鋼材は神戸製鋼を初め製鉄、製鋼各社で製造され、摩耗の激しい部材に使用されています。各社の耐摩耗鋼板の一例を表1に示します。1.耐摩耗鋼の溶接性一般的に溶接改善型の耐摩耗鋼では溶接性改善のため、硬度や引張強度が高い割に、CEQ(炭素当量)、PCM(溶接割れ感受性組成)が低く抑えられ、溶接性は一般の490N/㎜2高張力鋼並みです。2.溶接方法溶接方法は一般鋼材と同様、各種アーク溶接が対応可能ですが、その中でもMAG溶接や被覆アーク溶接が一般的に多く適用されています。引張強度や高度が高いため、被覆アーク溶接の場合は耐割れ性を考慮して、低水素系の溶接棒を使用します。3.溶接材料(耐摩耗鋼と耐摩耗鋼の溶接の場合)溶接材料を選定する場合、溶接金属へ要求される性能により、2通りの方法があります。溶接性を重視する場合、表2に示すように必要な強度に合わせて、490N/㎜2∼780N/㎜2級の高張力鋼溶接材料から選定します。また、耐摩耗性重視(肉盛溶接)の場合耐摩耗鋼の硬度により、被覆アーク溶接の場合、HF―360、HF―450など、炭酸ガス溶接の場合、DWH―350、DWH―450などを選定しますが、この際150℃以上の予熱が必要となります。(耐摩耗鋼とSS400の溶接の場合)一般的に強度は低い側、耐低温割れ性では厳しい側の溶接材料を選定します。今回の場合SS400に合わせ軟鋼レベルは耐摩耗鋼の溶接性を考慮して低水素系の溶接材料を使用します。使用溶接材料は、同等の強度を必要としない場合と同様被覆アーク溶接の場合LB―47、LB―47A、LB―52、LBM―52、炭酸ガス溶接の場合MG―50、SE―50Tをお勧めいたします。予熱については、拘束が小さい場合や板厚が薄い場合は不要です。板厚が厚くなれば、板厚の程度によって予熱が必要になります。エバーハードについての推奨予熱温度の一例を表3に示します。各鋼材メーカーの推奨する予熱温度を確認し、温度チョーク、表面温度計により確実な予熱管理を行ってください。(㈱神戸製鋼所溶接カンパニー営業部カスタマーサポートセンター大坂)矢内信一藤沢0466―20―3000溶接110番溶接110番大阪06―6206―6400表1各社耐摩耗鋼一例メーカー名耐摩耗鋼の鋼板名旧日本鋼管(現JFE)NK―EH360神戸製鋼K―TENAR360W新日本製鉄WELHARD400(WEL―TENAR360E)旧川崎製鉄(現JFE)HB360住友金属SUMIHARD―K360スウェーデンスチールHARDOX400*鋼材名の数字は硬度(BHN)を表しています。硬度によって数字が変わります。表3推奨予熱温度(エバーハードカタログより抜粋)グレード板厚㎜拘束が大きい場合被覆アーク(LB―62)ガスシールドアーク(MG―50)EH360194075℃125℃50℃100℃EH4002040100℃175℃50℃100℃EH5001940125℃175℃75℃125℃表2推奨溶接材料溶接継手部の要求条件推奨溶接材料被覆アーク溶接炭酸ガスアーク溶接混合ガスアーク溶接溶接性を重視する場合LB―52LBM―52LB―62LB―106LB―116LB―62ULLB―80ULMG―50SE―50TMG―60MG―70MG―80MGS―50MGS―80耐摩耗性を重視する場合EH360HF―350DWH―350EH400HF―400DWH―400EH500HF―500DWH―500*EHエバーハード(NKK耐摩耗鋼)です耐摩耗鋼の溶接について土砂運搬用車輌の荷台の張り替え工事でエバーハード(耐摩耗鋼)を使用することになっています。耐摩耗鋼と耐摩耗鋼、耐摩耗鋼とSS400の溶接方法と溶接材料を教えてください。(大阪府N工業)7


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