溶接110番

神戸製鋼所溶接事業部門発行の技術誌「技術がいど」。この中の「溶接110番」コーナーをまとめた電子カタログです。


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アンモニアプロパンプロピレン硫化カルボニル硫化水素炭酸ガスアセチレンエタンエチレンクリプトンメタン酸素アルゴンフッ素窒素ネオン水素ヘリウム-33.4-42.1-47.7-50-59.5-78.5-84.0-88.8-103.8-151-161.5-182.9-185.9-187-195.8-246.1-252.8-268.90℃℃-50-100-150-200-250ALキルド鋼低合金高張力鋼2.5%NI鋼3.5%NI鋼9%NI鋼オーステナイト系ステンレス鋼低温用鋼は、その名のとおり低い温度環境で使用される構造物や低温の液体の機器、容器などに多用されています。一般に低温あるいは極低温と言われる温度は氷点下0℃から-270℃ぐらいまでを言い、現在、実用化されている鋼種としては、アルミキルド鋼、2.5%NI鋼、3.5%NI鋼、9%NI鋼、オーステナイト系ステンレス鋼などがあります。表1、図1に低温用鋼の規格と用途、それぞれの鋼材の適用温度範囲を示します。低温で使用される鋼材には、なぜこのような特殊なものが必要なのでしょうか。これは、例えばチョコレートやキャラメルは暖かいところでは柔らかく、粘くなり、冷たいところでは硬く、脆く、折れやすくなります。鋼材もこれと同様に、低温になるにしたがって強度が増加し、延性と靭性が低下する性質があります。低温で使用される鋼材には、通常の鋼材に要求される性能に加えて、低温での脆性破壊の発生、伝播に対する抵抗である低温靭性値の大きいことが要求されます。今回、ご質問のSTPL―380は、JISG3460に規定された低温配管用鋼管であり、表2にその抜粋を示しますが、引張強さ380N/以上、シャルピー衝撃試験による吸収エネルギーが-45℃で21J以上が規定されている鋼材です。溶接材料の選定は、基本的には実機が使用される温度と要求される低温靭性値(吸収エネルギーなど)、溶接後の熱処理の有無などによって選定します。しかしながら、情報が使用鋼材だけの場合は、たとえ実機のスペックが鋼材より低レベルであっても、鋼材に合わせレベルの高い溶接材料を選定せざるを得ません。とりあえず鋼材のスペックから溶接材料を選定しますと、被覆アーク溶接棒は、-60℃程度までの低温において良好な衝撃値を得られるLB―52NSが最適で、溶接後の熱処理についても有、無どちらでも使用できます。TIG溶接材料は、-60℃程度まで適用可能なTGS―1Nとなり、熱処理についても有、無どちらでも使用可能です。もし、使用温度が-40℃以内であれば、一般的なTIG溶接材料であるTGS―50でも良好な衝撃値が得られ、安価な溶接材料が使用可能となります。このように、実機が使用される温度によって、溶接材料の選定が必ず低温用溶接材料でなくても使用可能な場合もあります。表3に各溶接材料の溶着金属の機械的性質の一例を示します。溶接施工上のポイントは、溶接金属の冷却速度が遅くなるような溶接(例えば、大入熱溶接、母材の板厚が薄い場合、あるいはパス間温度が高い場合など)では、溶接金属の衝撃値が低下します。実施工前に確認試験等により溶接条件を検討し、その溶接条件を遵守した施工を行うことが重要です。また、溶接金属中の窒素量が上昇すると低温靭性値が大幅に劣化することがありますので、シールド性に注意するとともに、アーク長を適正に保つよう注意することが重要です。(㈱神戸製鋼所溶接カンパニー営業部技術サービス室)蛸谷正敏藤沢0466―20―3000溶接110番溶接110番大阪06―6206―6400表1低温用鋼材一覧鋼種JIS規格ASTM規格(鋼板)用途パイプ鋼板アルミキルド鋼STPL380STBL380SLA235ASLA235BSLA325ASLA325BSLA360SLA410A516G55A516G60A516G65A516G70A537CL1A537CL2プロパン、エタン、ブタンなどのLPGタンク、運搬船、半加圧エチレンタンクおよびその他低温化学機械。2.5%NI鋼――SL2N255A203AA203BLPGタンカー、タンクなどの低温容器。3.5%NI鋼STPL450STBL450SL3N255SL3N275SL3N440A203DA203E液化エタン、エチレンなどの低温容器。9.0%NI鋼STPL690STBL690SL9N520SL9N590A353A553ILNGなどのタンク。オーステナイトステンレス鋼SUS304TP304LTP他SUS304304L他(AISI)304304LLNGなどのタンカー。表2低温配管用鋼管(JISG3460)鋼種降状点または耐力N/引張強さN/化学成分(%)吸収エネルギーCSIMNPSNI試験温度JSTPL―380205以上380以上<0.25<0.35<1.35<0.035<0.035――-45℃21*STPL―450245以上450以上<0.180.10∼0.350.30∼0.60<0.030<0.0303.20∼3.80-100℃21**試験片サイズ10×10MM2MMVノッチ表3各種溶接材料の溶着金属の機械的性質の一例溶接材料0.2%耐力N/引張強さN/伸び%吸収エネルギー熱処理試験温度JLB―52NS49058029―60℃130溶接のまま47057031―60℃120620℃×1HTGS―1N46054033―60℃200溶接のまま39045035―60℃250620℃×1HTGS―5048058033―30℃180溶接のまま43055035―30℃200625℃×1H低温用鋼の溶接について低温用鋼のパイプ(STPL―380)を溶接加工する仕事が入る予定です。溶接材料(被覆アーク溶接棒とTIG溶接材料)の選定と施工のポイントをご教授ください。(秋田県S鉄工所)図1低温用鋼の使用温度範囲と各種液化ガスの沸点5


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