溶接110番

神戸製鋼所溶接事業部門発行の技術誌「技術がいど」。この中の「溶接110番」コーナーをまとめた電子カタログです。


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NS力電流磁力線磁力線磁力線(A)(B)(C)力電流電流パイプなどの細長いワークの溶接や厚板の開先内の溶接で、母材の終端部にくるとアークの吹き付けが不規則に動き回ることがあります。このような現象を「磁気吹き」と呼んでいます。磁気吹きが生じると、アークの向きが変わってアークの安定性やビード形状などに悪影響を与えます。この状態が激しい場合には、異常なアーク音となり、大粒のスパッタが飛散したり、パンパンとアークがはねたり、ときにはアーク切れが起こることもあります。その溶接部は当然溶接欠陥が発生する確率が極めて高くなります。磁気吹きは、直流アークに顕著に見られる現象で、交流アークでは直流アークに比べて起こりにくくなります。これは交流が正・逆を一定期間で反転しているために、交流一サイクルの半分の期間では、磁気吹きが成長する暇がないからだと考えられています。それでは、磁気吹きはなぜ起こるのでしょうか?溶接物の形状や大きさ、材質や押さえ治具などの影響が複雑にかかわりあってくるので一概には言えませんが、図1(A)に示すように磁界中の導体に電流を流すと、導体に力が働くことはフレミングの左手の法則としてよく知られています。このとき導体のまわりの磁界は、図1(B)に示すように導体中を流れる電流によってできる磁界と、図1(A)のような一様な磁界との合成で図1(C)のようになります。磁力線密度の大きい部分が小さい部分の方へ力を及ぼすので、導体は手前の方へ押されることになります。この力によってアークは曲げられると考えられます。一般的な磁気吹き現象の防止対策を以下にまとめました。①アースから遠ざかる方向に溶接を進める。②細長い母材の場合は、両端からアースを取る。③十分な幅をもったタブ板を使用し、母材への取付けはしっかり溶接する。④溶接物から直接アースを取る。⑤アースケーブルをコイル状に巻かないようにする。⑥余分なケーブル類は溶接線の近くに置かず、できるだけ離しておく。⑦短い溶接が多数含まれる部材の溶接では、交流アーク溶接を活用する。以上のようなことが有効な手段になります。これらの点を参考にして溶接作業をチェックしてみてください。(㈱神戸製鋼所溶接カンパニー営業部技術サービス室)金子和之藤沢0466―20―3000溶接110番溶接110番大阪06―6206―6400磁気吹きについて平板の突合わせ溶接で、母材終端部に近づくにつれて、アークが不安定になるのはなぜですか?また、対策があれば教えて下さい。(三重県H工業所)図1電流に働く力、電流による磁界11


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