溶接110番

神戸製鋼所溶接事業部門発行の技術誌「技術がいど」。この中の「溶接110番」コーナーをまとめた電子カタログです。


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溶融亜鉛メッキ鋼板(通称亜鉛どぶづけメッキ)のように亜鉛の目付量(鋼板の表面1㎡当りの亜鉛の付着量G/㎡)が多い物を溶接する場合、鋼板表面の亜鉛が溶接熱により気化し、亜鉛ガスが多量に発生します。このため、スパッタやヒュームの発生量が多くなり、溶接部にピットやブローホールが発生しやすくなります。さらにアークが不安定でスラグの被りが悪くなり、ビード表面が荒くなります。このような悪影響を完全になくすには、溶接部およびその近くのメッキを削除しなければなりませんが、溶接棒の種類、溶接条件などを選択することで、ある程度軽減することが可能です。溶融亜鉛メッキ鋼板の溶接作業性に及ぼす溶接棒の被覆系統の影響について調査するため、イルミナイト系、ライムチタニア系、高酸化チタン系、低水素系の4種類の被覆アーク溶接棒で目付量500G/㎡の溶融亜鉛メッキ鋼板を溶接し、溶接作業性をチェックしました。その結果を表1、写真1∼4に示します。溶接は、亜鉛メッキの影響を受けやすく、また実継手も多い水平すみ肉にて行いました。溶接作業性としてはアーク安定性、スパッタ量、溶接後スラグはく離性、ビード外観および形状を評価しました。各溶接ビードとも1ST側、一般にガス放出の面で不利な2ND側ともピットの発生はありませんでした。テスト結果を総合的に判定しますと、ライムチタニア系、イルミナイト系、高酸化チタン系、低水素系の順になります。溶接中、連続的に鋼板表面から多量のガスが放出される溶融亜鉛メッキ鋼板の溶接は、ピット、ブローホールなどの欠陥と隣り合わせの溶接ということができます。溶接部の機械的性能や水密性、機密性の必要な溶接継手には必ずメッキを除去して溶接することをお勧めします。(㈱神戸製鋼所溶接カンパニー営業部技術サービス室)及川政博藤沢0466―20―3000溶接110番溶接110番大阪06―6206―6400表1亜鉛どぶづけ材溶接作業性評価銘柄被覆系(電流)項目B―14イルミナイト系(140A)Z―44ライムチタニア系(140A)B―33高酸化チタン系(130A)LB―47低水素系(130A)アークの安定△△○◎スパッタ量◎◎△○スラグのはく離○◎○×ビード外観○◎◎○ビード形状◎◎○△試験板:4.5T×120W×350LZN目付量500G/㎡溶接方法:溶接棒径:3.2Φ水平すみ肉溶接(1ST側溶接後常温まで冷却後、2ND側を溶接。溶接はアーク発生後、コンタクト溶接)評価方法:◎:優れている○:普通△:少し劣る×:劣る溶融亜鉛メッキ鋼板の被覆アーク溶接について板厚が4.5㎜の溶融亜鉛メッキ鋼板を被覆アーク溶接棒にて溶接したいと思います。溶接作業性の良い溶接棒を教えてください。(香川県B工業)写真1B―14写真2Z―44写真3B―33写真4LB―4711


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