溶接110番

神戸製鋼所溶接事業部門発行の技術誌「技術がいど」。この中の「溶接110番」コーナーをまとめた電子カタログです。


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323028262422100200300400500溶接電流(A)アーク電圧︵ ︶V下  向横  向水平すみ肉立向上進・上向2.4MM3.2MM溶接方向70°∼90°セルフシールドアーク溶接は、フラックス入りワイヤ(OW―56A)を用い外部からシールドガスを供給せず、ワイヤ内部のフラックスの分解によって発生するガスで溶融金属を大気から保護します。特に防風対策を取れない屋外の溶接に適しており、風速10M/秒程度まで適用可能です。溶接機は、専用の交流垂下特性電源、送給速度制御方式のものを使用します。それでは良好な溶接を行うためのポイントについて説明します。1.適正ワイヤ突出し長さの保持健全な溶接金属を得るためには、ワイヤ突出し長さを40MM程度(許容範囲30∼50MM)に保持します。2.適正アーク電圧調整ワイヤ自身から発生するガスだけを利用してシールドしますので、アーク長をできるだけ短くしなければなりません。溶接電流は2.4、3.2Φともかなり広範囲に使用できますが、アーク電圧は溶接結果に大きな影響を与えるので、その管理には十分注意が必要です。図1に条件範囲を示します。アーク電圧が高すぎると(アーク長が長すぎる)気孔が発生しX線性能が低下します。また、低すぎるとワイヤが突込みすぎてアークが断続しスムーズに溶接ができなくなります。3.適正トーチ角度保持とワイヤ斜め溶けに注意図2のようにトーチ角度は70∼90°保持で後退法で行います。図3のように極端にワイヤが斜め溶けにならないよう、また、大きなウィービングはさけてください。前進法やワイヤ斜め溶けは気孔が発生します。4.送給系統の手入れアーク長を一定にさせるため、トーチ操作も大事ですが、ワイヤ送給性が良好でなければなりません。ワイヤ送給性が悪いとアーク電圧の変動が大きくなり気孔が発生しやすくなります。そのためコンジットチューブ内をできるだけ送給抵抗が小さくなるようコンジットチューブ内に潤滑剤を注入することも大切です。さらに、トーチのねじれや極端な曲がりもないように心掛けてください。日ごろの保守点検がより良い溶接につながります。セルフシールドアーク溶接は、環境の厳しい現場での適用が多く、このため溶接される方への負荷も大きいものと推察されます。さらに溶接技術も高度です。しかしながら他の溶接法にない特徴をもった溶接法です。溶接のポイントに気をつけて技術を十分習得され、現場で活躍されることを期待します。(㈱神戸製鋼所溶接カンパニー営業部技術サービス室)熊谷英一藤沢0466―20―3000溶接110番溶接110番大阪06―6206―6400セルフシールドアーク溶接ワイヤOW―56Aについて海岸近くの現地溶接を施工することになりましたが、防風対策がむずかしいため、セルフシールドアーク溶接法を検討しています。経験が浅いため、かんどころを教示ください。(広島県S製作所)図1OW―56A溶接条件範囲(半自動溶接の場合)図2適正トーチ角度図3ワイヤ斜め溶けの状況11


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