溶接110番

神戸製鋼所溶接事業部門発行の技術誌「技術がいど」。この中の「溶接110番」コーナーをまとめた電子カタログです。


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ご承知のとおりアルミニウム合金の溶接は、一般の溶接用鋼材よりひずみが発生しやすい傾向にあります。その原因として、①熱伝導度が鋼の3倍であるため、広い範囲まで高温になる。②線膨張係数が鋼の約2倍である。③高温強度が低く塑性変形を生じやすい。以上のような理由から、アルミニウム合金の構造物を製作するに際しては、溶接ひずみを軽減するため鋼以上の十分な対策が必要になります。アルミニウムに限らず溶接構造物のひずみの現れ方は非常に複雑になりますが、その種類を図1に示します。継手形状や板厚などの違いにより、ひずみの発生量および形態が異なります。では、一般的なひずみの軽減方法を紹介して行きます。ひずみの軽減には設計面からと、施工面からの対策があります。[設計面]○設計の段階で溶接ひずみが最小限となるように、できるだけ溶接箇所・溶接線・溶接量が少ない設計をします。広幅の板材の使用のほか、アルミニウム合金は比較的容易に希望する形状の押出材が得られるので、効果的に押出材を使用すればひずみの軽減ができます。[施工面]○溶接による角変形・収縮量をあらかじめ予測して、逆ひずみを与えておくとか、縮みしろを見込んで施工します(逆ひずみの例を図2に示す)。○溶接順序の適否は、溶接ひずみの発生量に大きく影響するので、対称法やバックステップ法などで溶接します。また、収縮量が最も大きいと思われる継手を先に溶接するような工夫も必要になります(溶接順序の例を図3に示す)。○治具あるいは固定具などを用いて拘束をします。この方法は、溶接ひずみを軽減させる上では最も有効であり、広く採用されています(拘束治具と拘束法の例を図4に示す)。○溶接入熱を極力低くなるような溶接方法を選択します。一般的にはTIG溶接より、MIG溶接の方が高速での溶接が可能なので、入熱を低く抑えることができます。神戸製鋼アルミ用パルスMIG溶接機「センサークAL350」を使用すれば溶込み制御が内臓されているので、溶接条件を変えずに任意に溶込み深さを調節できます。いままでTIG溶接でしか溶接できなかった薄板もAL350なら溶落ちすることなくできるようになりました。ぜひご検討ください。溶接ひずみの軽減についてご説明してきましたが、他の溶接欠陥の発生にも十分留意され溶接を行って下さい。(㈱神戸製鋼所溶接カンパニー営業部技術サービス室)金子和之藤沢0466―20―3000大阪06―6206―6400溶接アルミ溶接におけるひずみの軽減法について110番アルミニウム製の容器の仕事を受注しましたが、アルミ溶接の経験があまりありません。アルミはひずみが発生しやすいと聞いていますが、良い防止方法があればアドバイスしてください。(三重県S工業)11


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