溶接110番

神戸製鋼所溶接事業部門発行の技術誌「技術がいど」。この中の「溶接110番」コーナーをまとめた電子カタログです。


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溶接はあくまでも下向姿勢で行うのが基本です。これは溶接者の体の姿勢に無理がなく、また溶融金属は重力にしたがい低い方に流れますので比較的安定した溶接作業が行えるからです。しかし、実際の構造物の製作、組立てにおいては半転、ポジショニングが困難でどうしても立向、横向きで溶接をしなければならない部分が出てきます。以下に低水素系被覆アーク溶接の溶接上の注意事項および欠陥が発生した場合の補修のポイントについて説明します。なお、下向溶接でも同様ですが所定の温度と時間にて再乾燥を必ず行うとともにアークスタートはバックステップ法(後もどり法)を採用します。1.立向上進溶接①本溶接を行う前に溶接電流の設定を行う。捨金上でアークを出し電流計を使用し棒径4.0Φで130∼140Aに調整する。②1層目は充分な溶け込みを得るように図1に示す溶接棒保持角度で、アーク長を短く保ちながら開先両端のルート部を十分溶かしながらウィービングを行う。なお、溶接棒の保持角度は初層から仕上げ層の各パスとも同じに保つ。③2層目は開先内でアークを発生、1層目ビードの両端を溶かしながらウィービングを行い、ビ-ド高さが母材表面より2㎜くらい残るように溶接を行う。④3層目(仕上げ層)はアンダカット防止のためにも溶接電流を125∼135Aに下げて開先内よりアークを出して開先の両端を停止しながらウィービングを行い仕上げる。また、3層目でアンダカットができた場合には棒径3.2Φを使用して100∼115Aでアンダカットを十分溶かし込んで補修を行う(棒径4.0Φでの補修溶接条件は3層目の条件で行う。)2.横向溶接①捨金上でアークを出し電流計を使用し棒径4.0Φで160Aに調整する。(溶接棒保持角度および積層は表1参照)②1層目は十分な溶け込みを得るようにアーク長を短く保ちながら開先両端のルート部を十分溶かしながらウィービングを行い溶接する。③2層目(2パス仕上げ)の1パスは開先内でアークを発生し、セミウィービングかウィービングで前ビードの下側開先面のきわを溶かしながら、ビード高さを下側母材表面より開先面が1㎜ほど残るように溶接する。④2層目の2パスは開先内でアークを発生しウィービングで前ビードの上側開先面のきわを溶かしながら、ビード高さを母材表面より開先面が1㎜ほど残るように溶接する。⑤3層目(仕上げ層、3パス仕上げ)の1パスは母材のアンダカット、オーバラップを防止するために溶接電流を130∼140Aに調整し、開先内でアークを発生しセミウィービングかウィービングで下側開先を1㎜ほど溶込ませ、余盛り高さを2∼3㎜ぐらいになるように仕上げる。また、オーバーラップが発生した場合にはオーバラップしたビードをグラインダなどで完全に除去する。⑥3層目の2パスは溶接電流を150Aに調整し、開先内でアークを発生させウィービングで1パス目と同じビード高さに合うように溶接する。⑦3層目の3パスはアンダカット防止のために、溶接電流を120∼130Aに調整し開先内でアークを発生させストレートでビード上側にアンダカットが発生しやすいので十分にアーク長を短く保って溶接を行う。また、アンダカットが発生した場合には棒径3.2Φを使用して110∼120Aで補修溶接を行う。(㈱神戸製鋼所溶接カンパニー販売部技術サービス室)及川政博表1横向溶接の溶接棒保持角度と積層1層(1パス)2層(2パス)2層(3パス)3層(4パス)3層(5パス)3層(6パス)溶接立向上進と横向の被覆アーク溶接のポイント110番藤沢0466―20―3000大阪06―6206―6400板厚9㎜の突合せ溶接を低水素系被覆アーク溶接棒で行っておりますが溶接姿勢が立向上進と横向であり、アンダカット、オーバーラップが発生し困っています。溶接のポイントについて教えてください。(北海道A工事)11


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