溶接110番

神戸製鋼所溶接事業部門発行の技術誌「技術がいど」。この中の「溶接110番」コーナーをまとめた電子カタログです。


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ご承知の方も多いと思いますが、仮付け溶接作業とは本溶接に先立って、形状・寸法を保持するために溶接線附近のところどころを、仮に溶接する作業のことです。本溶接作業と比較すると仮付け溶接作業は軽視されがちですが、本溶接作業にも増して注意すべき点が多くあります。仮付け溶接作業は、①特に冬場では、冷たい母材に少しの溶接(ショートビード)となるため、気孔(ブローホール)や母材硬化による割れなどの欠陥が生じやすい。②仮付け作業の優劣が本溶接の継手性能や、製品の寸法・形状に大きく影響する。といったむずかしさがあり、技量・知識はもちろんのこと豊富な経験が要求される、とても重要な作業です。それでは、仮付け溶接作業における一般的な留意点について説明します。1.仮付け作業前準備本溶と同様に、仮付け溶接を行う部分の鋼板表面のさび・水分・油・塗料などを除去してください。ブローホールや割れの原因になるためです。2.仮付け溶接作業仮付け溶接に使用する溶材は、一般的には機械的性能が母材と同等のものを使用してください。また、アーク溶接で仮付け溶接する場合には、使用する棒の再乾燥は必ず実施してください。仮付け溶接は、ビード長さが短か過ぎると溶接部が急冷し、溶接金属と熱影響部を著しく硬化させるので、板厚や部材の大きさに合わせたビード長さや脚長の検討が必要になります。硬化の程度は、板厚が厚いほど大きくなります。仮付け溶接は、部材を正確に組み立てると同時に、寸法・形状維持のため、本溶接中に仮付けビードが破断しないように、板厚や継手形状に応じて十分なビード長さとのど厚となるよう溶接してください。一般に板厚が厚くなれば拘束力は大きくなります。また、継手形状ではT型すみ肉継手より、V型開先継手のほうが本溶接時のひずみ量が多くなります。このような場合には、ビード長さを長くするか、仮付け箇所を増やすようにしてください。本溶接時に予熱を必要とする厚板や高張力鋼・低合金鋼などは、仮付け溶接時には40∼50℃高目に予熱を行うようにしてください。厚板のはめ込み溶接のように拘束度の大きい部材の仮付け溶接を行う場合には、適当な仮付け順序の検討をしてください。図1のように、対角となるような順序で行うようにして下さい。一時取付け品の溶接(ジグ・ピース・ストロングバック)は、母材に有害な影響を与えないような溶接法・施工条件で行うようにしてください。特に予熱・ビード長さの検討が重要になります。また、取り外した後に、母材にアンダカットやアークストライクが残らないようにしてください。本溶接では、中央から自由端へ、下から上へと組立て、溶着量の多いものを先に、少ないものを後に溶接します。仮付け溶接においてもこのことを参考にして、作業するようにしてください。仮付け溶接作業の留意点について述べてきましたが、これらの点を頭に入れて、いままで行ってきた仮付け作業の見直しをされては如何でしょうか。良い品質の製品を作る第一歩と考えて、是非、検討してみてください。(㈱神戸製鋼所溶接カンパニー営業部技術サービス室)金子和之溶接仮付け溶接作業における留意点110番藤沢0466―20―3000大阪06―6206―6400時々、溶接中に仮付けビードが割れてしまうことがあります。仮付け溶接は、どんなことに注意して作業すれば良いのでしょうか?教えてください。(三重県I工業)図1はめ込み溶接における溶接順序11


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