溶接110番

神戸製鋼所溶接事業部門発行の技術誌「技術がいど」。この中の「溶接110番」コーナーをまとめた電子カタログです。


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耐候性鋼は、普通鋼にCU,CR,P,NIなどの元素を少量添加することにより、大気中における耐食性、耐久性を向上させた低合金鋼です。耐候性鋼を素地のまま大気中に放置すると、初めは普通鋼と同様にさびが発生しますが、時間の経過(約1年以上)とともに、添加元素の働きにより、母材表面にきめ細かい酸化被覆を形成し、その後の腐食を防止します。図1に耐候性鋼と普通鋼を屋外に放置した時の腐食量を示します。耐候性鋼は、その腐食しにくい性質により、塗装の手間が省けたり、塗装寿命が永く再塗装の回数が減るなど、普通鋼の構造物に比べてメンテナンスの費用が低減できるメリットが大きく、橋梁、鉄道車輌、海上コンテナ、タンク、産業機械など多くの分野で使用されています。溶接構造用の耐候性鋼材はJISG3114にも規定されています。JIS規格では強度レベルが400N/㎜2,490N/㎜2,570N/㎜2の3種類があり、さらに裸のままあるいはさび安定化処理を行って使用するWタイプ(裸仕様)と塗装して使用するPタイプ(ペイント仕様)があります。耐候性鋼用の神鋼マグ溶接材料は、主にこのJIS規格に適合するよう作られています。表1に各鋼種に対するマグ溶接材料を示します。MGW―50TBは、全姿勢溶接用のソリッドワイヤで、炭酸ガスおよび混合ガスで使用でき、低電流でアークが安定するので、比較的薄板の溶接(鉄道車輌、コンテナなど)に使用されています。DW―50Wは、全姿勢溶接用の炭酸ガスアーク溶接チタニア系フラックス入りワイヤで、スパッタが少なくビード外観、形状が優れているので、比較的中板以上の構造物(橋梁、タンク、産業機械など)に広く使用されています。MX―50Wは、下向き、横向突合せ、水平すみ肉溶接用の炭酸ガスアーク溶接メタル系フラックス入りワイヤで、スパッタが少なく、特に水平すみ肉溶接でのビード外観、形状が良好で、橋梁、産業機械などで多く使用されています。MGW―60Bは、炭酸ガスおよび混合ガスで使用できるソリッドワイヤで、特に高電流でアークが安定しています。DW―60W,MX―60Wは、ともに炭酸ガスアーク溶接フラックス入りワイヤで、それぞれDW―50W,MX―50Wと同様の溶接作業性です。その他に、ASTMA588用としてMGW―588,DW―588,MX―588があります。また、耐候性鋼と同じような性質の鋼板に耐硫酸露点腐食性鋼がありますが、ほとんどの場合、今回紹介の耐候性鋼用のマグ溶接材料が使用可能ですので、耐硫酸露点腐食性鋼の溶接をされる際には一度ご検討ください。(㈱神戸製鋼所溶接カンパニー営業部技術サービス室)蛸谷正敏表1耐候性鋼用マグ溶接材料耐候性鋼鋼種適用銘柄規格記号JISG3114―1988SMA400PSMA490PMGW―50TBDW―50WMX―50WSMA400WSMA490WMGW―50TBDW―50WMX―50WSMA570PSMA570WMGW―60BDW―60WMX―60WASTMA588MGW―588DW―588MX―588溶接耐候性鋼のマグ溶接材料について110番藤沢0466―20―3000大阪06―6206―6400耐候性鋼板の溶接をマグ溶接で施工する物件があります。耐候性鋼とマグ溶接材料について教えてください。(秋田県T製作所)図1種々の鋼材の腐食試験結果11


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