溶接110番

神戸製鋼所溶接事業部門発行の技術誌「技術がいど」。この中の「溶接110番」コーナーをまとめた電子カタログです。


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X線性能に与える原因としまして、①棒の乾燥状態、②開先内の汚れ、③アーク長が長すぎる、④ビードの継ぎ方、⑤ウィッピングの有無、⑥クレータの大小、などいろいろ考えられますが、今回の場合強風とのことですので、風が影響している可能性があると思います。一般的に被覆アーク溶接棒の場合、炭酸ガスアーク溶接と比較して風の影響を受けづらいと言われていますが、やはり限度があり、強風化ではいろいろな弊害が発生しやすくなります。また、X線性能は被覆アーク溶接棒の種類(被覆の種類)や溶接姿勢によっても結果が左右されます。低水素系はイルミナイト系より風の影響を受けやすく、下向姿勢より立向姿勢の方が風に対する感受性が大きくなります。風速が大きくなると溶接の作業性も悪くなりやすく、アークスタートがむずかしくなったり、アークが不安定になり溶込みが浅くなり、溶込み不良や融合不良の原因にもなります。また、風が強くなるとアークのシールド状態が悪くなり、溶着金属中の窒素[N]が増加し、ブローホール発生の原因にもなります。次に機械的性能についてですが、引張り強さはさほど風速の大小によって大きく変化はないようですが、風速が大きくなると衝撃値が低下します。溶接金属の靱性に及ぼす風速の影響を調査した試験例を図1,図2に示します。またX線透過試験の結果を表1に示します。イルミナイト系で風速5M/秒以上、低水素棒では風速2.5M/秒以上になるような状況において健全な溶接金属を得るためには、十分な防風対策を行うべきでしょう。(㈱神戸製鋼所溶接カンパニー営業部技術サービス室)熊谷英一表1X線透過結果供試棒姿勢風速(M/秒)B―14LB―26下向立向下向立向0○○○○2.5○○○○5.0○○△×10.0○×××○:良好△:ブローホール発生×:ブローホール多発溶接被覆アーク溶接での風の影響について110番藤沢0466―20―3000大阪06―6206―6400私どもの会社は、現場配管を専門に施工しています。先日施工した工事で、X線性能に悪いものが発生しました。オペレータによると、いつもどおり施工したらしいのですが、風が強かったと言っていました。溶接部のX線性能に及ぼす風の影響はどうなのでしょうか。使用棒はイルミナイト系と低水素系です。(三重県S工業所)図1風速と衝撃値の関係(B―14)図2風速と衝撃値の関係(LB―26)15


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