溶接110番

神戸製鋼所溶接事業部門発行の技術誌「技術がいど」。この中の「溶接110番」コーナーをまとめた電子カタログです。


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ソリッド 1.2Φソリッド 1.4Φ50040030020010203040溶接電流 (A)ワイヤ突出し長さ(MM)図2 ワイヤ突出し長さと溶接電流の一例定電圧特性↑出力電圧溶接負荷線電流減少○大ワイヤ突出し長さワイヤ突出し長さ出力電流→ワイヤシールドガスノズルチップ母材図1 ワイヤ突出し長さと溶接電流の関係マグ溶接におけるワイヤ突出し長さ(ワイヤエクステンション)は、溶接部の良否に大きく影響を及ぼす一因となります。ワイヤ突出し長さは、一般的には使用ワイヤ径と溶接電流により適正な長さが決まります。目安としてはワイヤ径の約15倍程度となります。(表1)ワイヤ突出し長さが長くなると、ワイヤ送給速度(溶接電流調整ボリュウム)が一定の時、マグ溶接機に使用されている定電圧特性では、図1に示すように溶接電流が減少します。その結果、溶込みが浅くなり、適正な溶込みが得られなくなることがあります。また、トーチやワイヤの振動、ワイヤの曲がりなどの影響でアークが偏向し、溶接線のねらいズレやビードが蛇行しやすくなります。さらに、シールドガスのシールド効果が悪くなるため、空気の巻込みによるブローホールが発生しやすくなります。ワイヤ突出し長さが短くなると、溶接電流は増加し、溶込みは深くなります。さらに、溶接線が見えにくくなったり、ノズルや溶接チップに付着するスパッタが増加し、ノズル先端からのシールドガスの流れが乱されシールド性が低下し、ブローホールが発生しやすくなります。また、溶接チップがアーク発生点に近くなり、アーク熱の影響を受けやすく、チップの摩耗も早くなります。溶接現場では、ワイヤ突出し長さが短くなるような施工はあまり見かけませんが、逆に長くなってしまう場合が数多く見うけられます。例えばトーチが入りにくい狭あい部の溶接、深い開先部の溶接などがあります。このような場合の溶接施工上の注意点としては、溶込みが確保できるように、溶接電流を上げる。溶接電流の増加に応じて、アーク電圧を上げる。(一元化制御の場合は不要です。)シールド不良とならないように、シールドガス流量を増加させる。長いチップを使用し、ワイヤ突出し長さを適正な長さに近くする。(溶接ロボット等で適用)ワイヤ突出し長さの変動による溶接電流変化に対応した溶接電源を使用する。(神鋼ES電源)これらの対応をすることで、溶接部の健全性が確保できます。実際のワイヤ突出し長さの変動による溶接電流の変動は、図2に示すようにソリッドワイヤ1.2㎜Φ,ワイヤ突出し長さ20㎜で溶接電流300Aの場合、ワイヤ突出し長さを5㎜変化させると約20∼30A変動します。この傾向は溶接電流が高ければ大きく、低くなるほど小さくなります。(㈱神戸製鋼所溶接事業部販売部技術サービス室)蛸谷正敏表1適正なワイヤ突出し長さの一例ワイヤ径(㎜)溶接電流(A)ワイヤ突出し長さ(㎜)0.6,0.8≦100≦100.9,1.2100∼200151.2,1.4200∼350201.6,2.0≧35025藤沢0466―20―3000溶接110番大阪06―206―6400ワイヤ突出し長さについてマグ溶接時のワイヤ突出し長さが溶接に及ぼす影響について教えてください。A鉄工所(山形県)15


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