溶接110番

神戸製鋼所溶接事業部門発行の技術誌「技術がいど」。この中の「溶接110番」コーナーをまとめた電子カタログです。


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溶接施工の能率化から炭酸ガスアーク溶接が各種鋼材の溶接に適用されていますが、中高炭素鋼や特殊鋼では、施工条件によっては割れが発生したり、さらに施工条件を選定しても溶接が困難な場合があります。今回ご質問のS25CとSCM440の化学成分範囲および炭素当量の一例を表1に示しますが、特にSCM440は、CR,MOの合金成分を含み、かつ炭素当量が高いため、溶接が非常にむずかしい鋼材ですので、溶接施工に当たっては次のことに注意してください。1.溶接材料の選定一般にフェライト系の鋼間の異材溶接の溶接材料としては、どちらかいっぽうの鋼材に合せた溶接材料を使用するか、あるいはその中間の溶接材料をもちいます。ここでは、溶接性の点からS25C側に合せたソリッドワイヤのMG-50の使用が良いと思います。2.予熱・後熱溶接時の急熱、急冷により熱影響部や溶接金属が硬化して割れが発生することがありますので、これを防ぐ必要があります。硬化を防ぐ方法として、また、同時に拡散性水素の放出の促進のためにも予熱・後熱を行ってください。加熱は、一般に酸素、アセチレンガスバーナーをもちいて溶接線から100㎜までの範囲を行います。温度管理としては、温度チョークまたは表面温度計等を使用して溶接線から50㎜の位置で所定の温度になったことを確認してください。予熱・後熱の温度は、鋼板成分(炭素当量)、板厚などを考慮し決定しますが、今回の場合の予熱温度は通常300℃以上、後熱温度は650℃で行いその後除冷して結果を確認してください。3.溶接条件溶接条件としては、高電流で溶接しますと、溶込みが大きくなり溶接金属に母材の成分が入り硬化して割れることがありますので、低電流で溶込みを押さえた溶接条件で施工してください。同じ溶接条件でも炭素当量の異なる鋼材の場合には、アークの狙い位置を低炭素当量鋼材側にして、高炭素当量鋼材の溶込みを少なくする場合もあります。また開先内の溶接では一層目に低水素系被覆アーク溶接棒をもちいて、溶込みを押さえる方法も有効です。電流が高く、溶込みが大きいため、割れが発生した溶接例の断面マクロを写真1に示します。これは予熱300℃を行ない、下向すみ肉で脚長10㎜をMG-501.2Φ㎜で300Aをもちいて1パス溶接した例です。現在は、電流を下げ2層溶接で施工され割れを防止しています。(㈱神戸製鋼所溶接事業部技術サービス室)下山元彦鋼種化学成分%炭素当量の一例CSIMNPSCRMOS25C0.22∼0.280.15∼0.350.30∼0.600.030以下0.035以下――――0.39SCM4400.38∼0.430.15∼0.350.60∼0.850.030以下0.030以下0.90~1.200.15~0.300.81藤沢0466―20―3000溶接110番大阪06―206―6400『S25CとSCM440の炭酸ガスアーク溶接』S25CとSCM440を炭酸ガスアーク溶接で、すみ肉溶接を行おうと思いますが、注意点を教えてください。(京都府K鉄工)表1鋼材の化学成分範囲および炭素当量の一例写真1割れ部の断面マクロ11


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